I. イヌのオマワリ¶
そのステーションワゴンは、角を曲がって影の濃い狭い通りに入り、ゆるゆると進むと、路肩にとまった。それはありきたりのステーションワゴンではなかった。カスタムメイドで、古き良き時代なら、きっかり税抜き3987.92ドルで買えたものだ。
その車は、流線型のリムジンのようでもあり、高級な霊柩車のようでもあった。
車を運転しているのがドーンである。彼は小太り、中背、グレーのビジネススーツをきちんと着こなしている。丸いはっきりしない顔は食餌管理された赤ん坊のような肌をしている。彼はごく無邪気、親切かつ無害そうな男だったが、それはすべて巧みなカモフラージュだった。この男が無邪気で親切なのは、得になるときだけで、その無害なことはガラガラヘビなみだった。
「ここだ」と、彼は肩越しに言った。
ステーションワゴンの後部座席は、車体後部の輪郭にそって半円状になっており、六人がゆったり座れるように設計されていた。カーステアズの体は今、そのすべてを埋め尽くし、なお、ここかしこで、はみ出していた。彼は穏やかに荒いいびきをかいていた。
ドーンは、「おい、マヌケ」と、言った。
カーステアズは片目を開けて彼を見た。
「さあ、いいかげん起きろ」と、ドーンが言った。
彼はドアを開けて、通りにすべり出ると、後部のドアを開けた。カーステアズが何かぶつぶつ言い、うなり声を上げながら、関節を鳴らし、自分の体を組み上げる。
カーステアズは犬である。が、単に犬と思ってはいけない。第一に彼はグレート・デーンであり、第二に彼は巨大だった。四本足で立ち、体をほぐして道路に出ると、その背中はドーンのみぞおちに届いた。カーステアズが後ろ足で立つ気になると、その視線はドーンの頭をゆうに超えることができた。
"あそこの壁が見えるか?" とドーンが尋ねた。
カーステアズは、通りのむこうの壁を不愉快そうに見つめた。それは確かに何かの壁だった。二階ほどの高さの壁は、花崗岩の灰色のブロックであり、朝日を冷たく不機嫌にはね返していた。
「この後ろは刑務所だ」と、ドーンが言った。「刑務所は、犯罪者を収監する場所だ。まあ、犯罪者全部じゃなくて、ご案内のとおり、捕まえた連中だけだが。今後のために、覚えておけよ。」
カーステアズは低く唸り、座った。太陽はまだ鋪道を照らすには低く、寒かった。カーステアズは再び立ち上がり、喉の奥で唸った。
ドーンが指差して言った。「あの小さなドアは、用済みの犯罪者を外に出すところだ。目を離すな」。
カーステアズは、特に興味もない様子でドアを見た。通りは静まりかえり、木々の影が刑務所の壁の下の方に動きのないまだら模様を作っていた。どこかで時計が陰鬱に時を打った。十時になった。
「今だ」と、ドーンが言った。
冷たい鉄格子の音に続いて錠がはじけた。壁の奥の扉が開き、そこから一人の男が現れて、ためらいがちに歩道に立った。扉は鋭い音を立てて彼の後ろで閉まった。男は一瞬顔をしかめた。そして、自由な空気を深々と吸い込み、通りを歩き出した。
「おい」と、 ドーンが声をかけた。
男は足をとめ、半ば振りかえった。
ドーンは指曲げて呼んだ。「こっちに来いよ。」
男は再びためらったが、ゆっくりと通りを横切った。彼は若く、茶のツイードのスーツを着ていた。スーツは、古いが、かなり高価なものにちがいなかった。刈り上げられた黒い髪、重く黒い眉、人を侮蔑するような茶色の目には緑がかった斑点がある。唇は薄くて硬く、片すみがかすかに下がっている。
「ブラッドフィールド・オーエンスかい?」ドーンが尋ねた。
「そうだ。」
「ドーンだ」と、ドーンは言った。「こいつはカーステアズ。おれのアシスタント、いや、おれがこいつのアシスタントというか。いまだに良くわからんのだけどね。」
「とてもおもしろい」と オーエンスは言った。 「それで?」
「エフライム・モリス大佐の指示で、あんたを仮釈放にしたんだ」と、ドーンは言った。「なかなか大変だったよ。仮釈放委員会は、ほうぼうで人にナイフなんかを突き刺すうな輩には、少しばかり疑り深いものでさ。大佐があんたに会いたがっている。」
「おれが会いたくなかったら?」
「今出てきたドアをノックしろよ」と、 ドーンは答えた。「すぐに入れてもらえるぞ。」
オーエンスは肩をすくめた。「オーケー。モリスはどこだ?」
「どこにいる?彼の農場だろ。そこにあんたを連れて行くのさ。」
「そこで何をしろって?」
「働けってんだろ」と、ドーンは言った。 「モリス大佐があんたを仮釈放にしたのは、なぜだい。 あんたの可愛い茶色の目が気に入ったからか?」
「まさか」オーエンスは暗い顔をした。「じゃあ、行こうか。」
夕方になっても、まだ、ドーンは運転していた。わずかに起伏があるだけの田舎道は、長くゆるいカーブを描いている。
「この道は一度しか走ったことがない」と、ドーンは言った。「もうすぐかな。」
「そう」オーエンスはうなずいた。
「嬉しそうじゃないな。」
「ああ」 オーエンスは不機嫌に言った。
カーステアズは後部座席で体をあちこちさせながら、うーんと文句を言った後、ドーンの右耳のすぐ後ろで意味ありげに鼻を鳴らした。
「オーケー」とドーンは言った。「後ろの変物が、喉が乾いたし、散歩がしたいとさ。この辺に立ち寄れる所はないか?」
「ああ、クリーク製粉所があのカーブの先にある。廃屋だが、ダムと貯水池はまだある。」
カーステアズは切実そうに鼻を鳴らした。
「わかったよ」とドーンは言った。「聞こえたよ。」
「いい犬だ。」 オーエンスが言った。
「そうでもない」と、ドーンは言う。「必ずしもいい犬じゃないな。実のところ、こいつは底なしに性悪なのさ。」
「これは良い標本だってことさ。今まで見たグレートデーンの中で、ここまでのは、いなかった。」
「こいつはあんたが見たなかじゃトップさ。489個のブルー・リボンを持っているんだが、審査には性格の良さってのが入っていなかったのさ。こいつには、性格の良さなんて、まったく。」
「高いんだろ?」
「おれは一銭も出してない。さいころで勝ったんだ。もちろん、維持費はいささか大変さ。おれの三倍も食うんだからな。」
カーステアズはゴロゴロと不気味な音を立てた。
「わかったよ!」と、ドーンは言った。
道は急カーブとなり、深い木々の影にくるまれて製粉所の建物が右手にせまった。レンガ造りの二階建てで、屋根は鋭く尖っていたが、その輪郭は生茂った蔓ではっきりしなかった。いくつもの窓がうつろな目のように開いていた。道沿いの水流はダムでせき止められ、深く滑らかに淀んだ池を作っていた。
ドーンは、草ぼうぼうの道にそってステーションワゴンをすべらせ、荷積み台の残骸の手前で急ブレーキをかけた。建物の向こう側が見えた。その影に二人の人物が向き合っていた。一人は壁に押し付けられ、もう一人はその上に威圧感をもっておおいかぶさっていた。彼らはお互いのことでいっぱいで、ステーションワゴンの接近に気づく余裕もなかった。
ドーンはエンジンを止めた。「ありゃなんだ?」
壁に押し付けられていたのは、小柄でずんぐりした女で、光沢のある黒いシルクのドレスを着ていた。鉄縁の眼鏡が団子鼻のうえで曲がっている。短い曲がった棒を手にしていた。
「ほぅ!」と、のっぽの男はその棒を軽くつかんだ。「怖いのか?怖いんだろ! 殴ることもできねぇほどにな。」
この男は、まず、青年と言っていいのだろう。肩幅が張っており、横広の顔はゆがみ、唇がたれている。男は古いオーバーオールと油じみたシャツを着て、つばの片端がちぎれた汚いフェルト帽をかぶっていた。
彼は女の手にした棒をつかむためにフェイントをかけ、不意に、女からもぎとってしまった。
「さあ」と、彼は小ずるく笑った。「さあ、どうする?」
「ジョディ・ターンブルだ」と、オーエンスは言った。彼はステーションワゴンのドア・ロックをはずし、外に出た。「ジョディ! やめろ! 手を出すな!」
ジョディ・ターンブルは一種ぎこちない優雅さで振り向いた。彼は信じられないというように見つめ、唇をゆるめて、まるで擦り切れた風刺画のような顔をだらりとさせた。
「ブラッド・オーエンス」 彼は言った 「ブラッド・オーエンスか。ムショから出してもらったのか。」
「ああ」と、オーエンスは言った。
ジョディ・ターンブルは太く絞められるような音をたてた。「よく戻ってくる根性があったもんだ! 逃げれると思ってんのか?」
「そうさな」 と、オーエンスは言った。「それで、お前がミス・カーソンを困らせるのをやめさせようと思うんだがな。」
「お前が、おれに?」
「そうだ」 と、オーエンスは言う。
「どうやって?」 ジョディ・ターンブルはせせら笑った。「おれも刺すつもりなのか? 背中から?」
「いや」 オーエンスは穏やかに言った。「お前の首をへし折るのさ。」
「今はやめとけ」 ドーンが車から降りて言った。 「必要なら、おれがやろう。 いいか、チンピラ、よそで暴れてこいよ。」
「お前だな。」 ジョディ・ターンブルが言った。「モリスの爺いが連れてきた探偵だろ。お前なんか怖くないぞ。」
「それじゃ、おまえは見かけよりもっと単純な奴だな。」 ドーンは彼に言った。彼がステーション・ワゴンの後部ドアを開けると、カーステアズが出てきた。
ジョディターンブルは二歩後ずさった。「あれが、例の、デカイって犬なのか!」と、おぼつかない声だった。
ドーンは膝でカーステアズを突いて、言った。「ワン!」
カーステアが突然咆えた。
その硬い揺するような轟音は、奥深い凶暴さを秘めていた。ジョディ・ターンブルはつまづきながら、さらに三歩後退した。カーステアズは、薄暮に緑の光を放つ目で彼を見つめた。
ドーンが言った。「五秒以内に消えないなら、吠えられるよりも噛まれる方がもっとひどいということを、ちょっと証明してもらおう。さっさと失せろ。」
ジョディ・ターンブルが彼の言葉を理解するのに、二拍ほどかかった。そして、彼は振り向きざまに茂みに倒れこみ、必死になって立ち上がると、走って逃げた。彼は積もった落ち葉を切り裂いて駆け、製粉所のかなたの雑木林に消えた。
カーステアズは侮蔑の唸りを上げ、苛立ったように体を揺すった。それから、貯水池に歩み寄り、トタン屋根をたたく雨のような音を立てながら水を飲んだ。水面に、おののくように波紋が震えた。
「こいつは本当にジョディを襲うつもりだったのか?」と、オーエンスが聞いた。
「もちろん」と、ドーンは言った。「こいつは人を噛むのが何よりも好きなんだ。でも、お嬢さんには危害を加えませんよ」。
女は製粉工場の壁にもたれていた。彼女はカーステアズを、魅せられたような恐怖の目で見ていたが、今度はドーンを見て、鉄縁の眼鏡の奥の目を大きく見開いていた。
彼女は少し声をひそめて、「わたしイ、イヌが怖いんです」と言った。「中に入ってくれてありがとう・・・」
「ノーマ、僕にお礼はないの?」 オーエンスが聞いた。
「もちろんよ。ブラッド!動揺しちゃって・・・ジョディと、あなたと、犬とでしょ・・・」
「私も忘れずに。」 ドーンは彼女に念を押した。
「こちらはドーンさん。」と、オーエンスは言った。「ノーマ、どうやらしばらくは、彼がぼくの保護者とでもいうか。ドーン、こちらはノーマ・カーソン。彼女はラムゼイ村の学校で低学年を教えているんだ。」
「よろしく」と、ドーンは言った。「さっき追い払ったウジ虫は誰?」
ノーマ・カーソンは不安そうにオーウェンスを見て、目をそらした。「ジョディ・ターンブルです。」
「やっぱり」と、 ドーンは言った。「あいつはいつもこんな調子なのか、それとも今日は何かのお祝いか?」
ノーマ・カーソンが言った。「あのぅ、私の学年にはもう彼を出席させないようにしたの......」。
「勘違いかもしれんが、低学年にしては、ちょっとばかり老けすぎに見えたけどね。」
「知恵遅れなんです」と、ノーマ・カーソンは言った。「ほんとうなんです。何一つ学べないのに、それでいて、他の子供たちよりもずっと年上で体も大きいし。」
ドーンは、「なるほどね。もし、あいつがまた厄介を起こすなら、カーステアズと私とで、あいつのところに社交的に訪問するって言って。」
「あなたは保護観察官ですか?」 ノーマ・カーソンが尋ねた。
「今はね。」 ドーンは言った。 「まあ、いい仕事だと思いますよ。」
オーエンスが、「ノーマ、町まで送ってあげようか」と言った。
彼女は首を横に振った。「いいえ、ありがとう、ブラッド。私、車があるの。すこしさきに停めてあるわ。ここに来たのは、ツバメが巣を作っていると聞いたからなんです。子供たちにツバメの巣を見せてあげようと思って。私がさがしている時に、ジョディが来てしまって」。
カーステアズは車に戻り、満足げなため息をついて、そこにすわった。
ドーンは人差し指のふしで彼の頭を叩き、「車に乗れ、間抜け 」と、言った。
カーステアズが後部座席に飛び込んだので、車のスプリングが耐え切れずにきしんだ。
「ブラッド」 ノーマ・カーソンがためらいがちに言った。 「ザ・スクエアに戻るの?」
オーエンスは肩をすくめて、「そうみたいだ」と、言った。
「あんなことがあったのに?」
「仕方がないんだ、ノーマ」
「ジェシカがいるのよ。」
オーエンスは顔をしかめた。「いなければ良かったが。」
「私はこの町と、この町の意地悪な人たちが大嫌いだわ。ブラッド、あなたにあんな仕打ちをしたんだもの!」 ノーマは言った。「ジェシカ・モリスも、よ。」
「過ぎたことさ」と、 オーエンスは言った。「忘れよう。我慢するしかないさ。おやすみ、ノーマ。」
彼らは車に戻った。ドーンは車を回し、再び凸凹道を走って元の道路に入った。オーエンスは時折、曲がるところを黙ってさした。
ドーンは、「ちょっとばかり説明してほしいな。せめて、何が起きているのか、知っているふりくらいしたいからさ。」
「もちろん、おれが人を殺したことは知っているだろう。」 オーエンスは言った。
「自慢するほどじゃない」 と、ドーンは彼に告げた。「おれは、これまでに、二ダースとくだらない奴らの息の根を止めてきた。」
「おれは男の背中を刺したんだ。」
「まだ、その方法は使ったことがないな」 と、ドーンは言った。「そのうち、試してみよう。 そいつの名前は何ていった?そんな、おおごとか?」
「おおごとさ。そいつの名前はターンブルだ。」
「で?」 と、ドーンは言った。「さっきの精神的巨人の親戚かなにかか?」
「父親だったんだ。」
ドーンはうなずいた。「まあ、君を見たときのあいつの行動の説明にはなるな。ともかく、遺伝を考えると、君はあの巨乳娘を助けてやったのかもな。親父も息子同様、頭が曇っていたのか?」
「もっと悪い。誰にでも神経を逆なでするようなことをする、卑劣で悪質な阿呆だったんだ。」
「君はそいつをチクるようなことをしたのか?やつに憎まれるような?」
オーエンスはため息をついた。「人手が足りないとき、時々、あいつに臨時の仕事をさせてたんだ。あのときに限っては、あいつは北側の畑でトラクターを使っていた。新品のトラクターだった。おれは何度も油と水に注意して、オーバーヒートに気をつけろと言ったんだが、あいつは水を吹き出させちまった。おまけに、二百ヤード歩いて水を取りに行くのさえ面倒がった。あいつはエンジンが焼けるまでトラクターを走らせた。おれがやつの様子を見に行くと、やつはレンチでブロックを叩いていた。エンジンがダメになるところだった」。
「で、あんたは?」
「キレちまった。」
ドーンはこう言ってみた。「もう一度想像してみてくれ。ほんの些細なことでも。それから?」
「おれは大声で怒鳴り散らした。」
「それでそいつが死んだのか?」
「いや、まさか。あいつはカッとなってレンチをおれに投げつけたんだ。」
「ターンブル家は実に魅力的な家族だ」と、 ドーンは言った。「殴られたのか?」
「頭をね。 その後のことは何も覚えていない。何も。」
ドーンは彼を横目で見た。
オーエンスは肩をすくめた。「信じられないかもしれないが、正直覚えてない。意識が戻ったときには、病院で警察に監視されていた。」
ドーンが言った。「最初にひらめいたんだ。君と殺人のことを話すことになるんじゃないかってね。」
「そうだな。 証拠によると、ターンブルはおれにレンチを投げた後、走って逃げた。おれはやつの背中めがけてナイフを投げて、それがあたった・・・やつが二十フィートばかり走った所で。」
「誰の証言だ?」 ドーンが尋ねた。
「目撃者はいない。畑は家から遠いし、近くには誰もいなかった。証拠は、地面の足跡、ターンブルに刺さったナイフ、そして、発見された時のおれたちが倒れていた位置関係だ。」
「あぁ、」ドーンは言った。「どこかで正当防衛の議論は出てきて当然のように思えるが?」
「いや、」 オーエンスが言った。「ナイフで刺されたとき、あいつは逃げていた。そして、死んだ。あいつはおれを攻撃してはいなかった」。
「あぁ」と、 ドアンは繰り返した。「思いつき的には、この小さな物語には何かが欠けているな。」
オーエンスはゆっくりうなずいた。「モリス大佐。」
「どんな人物だい。」
「彼はこの辺りではとても嫌われている。州内でとびきりの農地五千エーカーを、抵当権の差し押さえなんて、いかさまな取引で手に入れたんだ。モリスはラムゼイに銀行を持っているのさ。」
「彼が銀行を経営し、あんたは刑務所に入れられた、か」 と、ドーンは言った。「まあ、合理的な話だ。」
オーエンスは咳払いをした。「ほら、あれやこれやで彼に仕返ししたいと思っている奴は大勢いるし、おれは彼の娘婿になるはずだった。おれをネタに、彼を捕まえる良いチャンスだと思ったかもな。」
ドーンは、「あんたにはちょっと辛いとこだ」と、述べた。「婿養子の件だ。もうちょっとよく見てみよう。何かあるかもしれんよ。」
「おれは娘と婚約していた。」
「ややこしいな」と、ドーンが言う。
「見てのとおりさ」と、にがにがしくオーエンスは答えた。