時代の論点(1890-1949)¶
明治末から第二次大戦にいたるまで、知識層の関心事がどのように動いていったかを、大雑把につかむために、 国立国会図書館デジタルコレクション で調べてみた。
年ごとに出版物の総数は異なるし、収録されている出版物のカテゴリーも年によって均一ではないので、任意にキーワード「家庭」の出版物中の出現頻度(f)で規格化して、次式で整理してみた。なお、一つの出版物に同じキーワードが何度出現しても、それは1として数えている。官報や論文集なども出版物1点として数えているので、決して厳密なものではない。

関心の推移は、それぞれの境界はあいまいなものの、おおむな4類型になる。
日露戦争以前に集中して取り上げられた後、あとは、取り上げられ方が一定しているもの。典型的なのは、「俳句」、「美術」、「哲学」などである。(日露戦争前が高いのは、当時は規格化ワード「家庭」が論じられることが相対的に低かったからとも言える。)
大正期にやや関心が低下したあと、昭和になってまた議論が高まるもの。「憲法」、「治安」、「軍備」など。
明治期には関心が低くて、大正後半から急激に出現頻度が高まるもの。「満州」、「農村」、「日米」、「金融」など。
大正から昭和初めに特徴的に出現頻度が高いもの。「抒情」、「恋愛」など。

2024年4月18日
